令和2年度卒業設計 松遙賞(優秀賞・環境デザイン賞)「ゆく堀の流れは絶えずして」

作品名:「ゆく堀の流れは絶えずして」
受賞者:石本大歩
作品講評:
本作品では、水の浄化プロセスに着目した堀の整備とともに、水面に映る季節や時間の移ろいを愉しむ地域食堂やテラスで水遊びができる保育所など、子どもたちが日常生活の中で水との付き合い方を学ぶことができる多様な水辺空間が提案されている。さらにそれらを軒が連続した通園路がつなぐことによって、土木的な発想と建築的な発想とが一体となった魅力的なまちの姿が描かれている。子どもの安全の観点から本提案が現代の日本社会でどこまで受け入れられるか課題は残るものの、かつて掘割が貴重な遊びや生活の場として機能していた時代の記憶や痕跡を丹念に拾い上げ、現代の社会的課題に応える仕組みとして再編しようとした試みを評価したい。